2025.01.29
伊達鶏の魅力について 伊達物産株式会社 清水社長
プロの料理人に選ばれているブランド鶏、『伊達鶏』を飼育・製造・販売している、伊達物産の清水社長にお話を伺いました。
『伊達鶏』は若鳥と地鶏の“いいとこ鶏“と表現され、その美味しさと使いやすさで、多くのプロの料理人に選ばれています。これには、地鶏の濃厚な味わいと、ブロイラーの柔らかさの良いところを併せ持っている点が大きな理由として挙げられます。そして伊達鶏は様々な料理に自然に馴染むため、和食、洋食、中華を問わず幅広い料理に活躍します。
また、伊達鶏は、他の鶏肉と比べて“主張しすぎない”点が評価されています。肉の味が料理に深みを加えつつ、全体のバランスを損なわないため、料理人にとって非常に扱いやすい素材となっているのです。伊達鶏はそのバランスの良さと使いやすさから、長年にわたり多くの料理人に選ばれています。
伊達鶏の誕生には、先代社長の「世界一おいしい鶏を作ろう」という強い思いがありました。フランスの「ブレス鶏」が当時、最もおいしい鶏として知られており、先代はブレス鶏の飼育方法を学ぶため、フランスまで足を運んだといいます。しかし、現地の方から「まったく同じ方法をしても、同じ味にはならない」とアドバイスを受けました。日本の気候や風土に合った鶏の育て方、エサの選び方が重要であり、伊達鶏の育成方法はその地元特性に合うように模索されました。そうして生まれたのが「鶏が健康になるように育てる」という理念です。
伊達鶏の飼育方法の研究は約3年かけて形になり、1985年に伊達鶏が誕生しました。ちょうどその年に清水社長も誕生したこともあり、伊達鶏の歴史と彼の人生は深く結びついています。その後も飼育方法は進化を続け、時代に合わせてエサの原材料や飼育環境の調整が行われていますが、根本的な理念「鶏が健康に育つこと」は40年間一貫して守られてきました。

伊達物産株式会社は地域を活性化させたいという思いから設立されました。その中で伊達鶏が生まれ、清水社長は伊達という名前を背負い、地域を代表する存在として、伊達鶏を通じて地元を盛り上げることを大切にしています。
そして2011年の東日本大震災は、伊達鶏にとって大きな試練となりました。伊達物産の工場は避難区域に非常に近く、震災直後には操業停止を余儀なくされました。その後、放射能汚染が心配される中で、工場の再開をどのようにするか、非常に難しい判断を迫られました。特に、福島県全体が放射線への不安の影響を受けていたため、風評被害が広がり、売上は大きく落ち込みました。
そんな中、従業員たちは、どんな困難な状況でも前向きに仕事に取り組み、地域への貢献を忘れずに支え続けてくれました。伊達鶏を使い続けてくれたお客様の中には「福島を応援します」と堂々と張り紙を掲げて販売してくださり、再び伊達鶏を選んでくださるお客様の存在がどれほど心強かったかを実感したと言います。お客様の支援と従業員の努力のおかげで、伊達鶏は徐々に復活を果たし、現在も多くのファンに愛され続けています。
「震災後に、改めて感じたのは、地域の人々と共に生きていく大切さです。従業員の皆さんの支えがあったからこそ、今日も伊達鶏を作り続けることができている。お客様におかれても、当時の逆境の中でも福島のものを選んでいただき、心から感謝しています。皆様のおかげで、今の私たちがあります。」と清水社長は振り返ります。

現在、伊達鶏の事業が抱える大きな課題は後継者問題です。養鶏業は一般的に「3K労働」とされることが多く、そのため若者の参入が少なくなっています。そこで清水社長は異業種からの人材を積極的に受け入れ、養鶏業に新たな視点を加えることが必要だと考えています。農場の働き方を改善し、若い世代でも働きやすい環境を作ることで、業界全体の活性化を目指しているのです。
中長期的には、地域資源を活かした循環型農業を実現したいと考えています。鶏肉の生産だけでなく、地域と共に発展する形で事業を展開し、持続可能な農業を目指していきたいというビジョンを持っています。
清水社長は、伊達鶏を通じて福島県の魅力を全国に発信したいと考えています。そのため、福島県内のブランド鶏である川俣シャモや会津地鶏と共に、「ふくしま三大鶏」イベントを行い、地元の魅力を伝える取り組みを続けています。このイベントを通じて、福島県がいかに素晴らしい場所であるかを伝え、また福島に住む人々にも改めて地元の誇りを感じてもらうことが大切だと感じているのです。

今後、清水社長は伊達鶏のエサや飼育環境、さらには伊達鶏を楽しめる施設に地域の特色をさらに反映させ、地域全体をPRしていくことを目指しています。かつては鶏たちが桃畑やリンゴ畑の中を走り回る風景も見られ、地域ならではの美しい光景を提供していました。今後は、こうした地域を感じることができる農場づくりを目指し、伊達鶏を通じて伊達市をもっと多くの人々に知ってもらえるよう努力していきたいと考えています。
清水社長の思いは、伊達鶏の生産を超え、地域全体を元気にすることにあります。彼は、伊達鶏を通じて、地域活性化と福島の魅力を広めていく決意を新たにしています。その取り組みは、これからも地域社会と共に成長し、広がり続けることでしょう。読者の皆さんにも、ぜひ伊達鶏を味わっていただき、福島の魅力を感じていただければと思います。
伊達物産株式会社
住所:伊達市梁川町字南町谷川13番地
電話番号:024-577-2111
住所:伊達市梁川町字南町谷川13番地
電話番号:024-577-2111