2026.01.08
1世紀にわたって愛され続ける至高の水たき
東京・新宿で長年愛され続ける水たき専門店「玄海」は、2028年に創業100周年を迎えます。今回は株式会社玄海の常務取締役・五郎丸竜太様、水たき番番頭・犬木真道様にお話を伺いました。

創業以来磨き続けてきた乳白色のスープは、鶏本来の旨味とコラーゲン、良質な脂肪分、そして栄養バランスに優れた滋味をたっぷりと含んでいます。ひと口含めば、まろやかなコクと深い風味が口いっぱいに広がり、体の芯から温まるようなやさしさを感じられます。
自然の恵み豊かな奥羽山脈と阿武隈山地に囲まれた福島県・伊達地方から直送される伊達鶏は、余分な脂肪やクセがなく、噛むほどに上品な旨味としっかりとした歯応えが広がります。その味わいは、素材の力を最大限に引き出す「玄海」ならではの技と心によって完成されています。

こうして培われた「玄海の水たき」は、約1世紀にわたる歴史の中で、戦災や震災、パンデミックといった数々の困難を乗り越えながら、”本物の味”を追求し続けてきました。
二代目社長が全国の銘柄鶏を試食した末にたどり着いたのが、水たきのメイン食材である福島県産の「伊達鶏」です。白濁したスープの風味を損なわず、鶏本来の旨味と歯応えを両立できる点が決め手となりました。味の主張が強すぎず、煮込むほどに旨味が際立つ伊達鶏は、玄海の象徴的な白いスープとの相性が抜群だったといいます。

玄海の水たきは、野菜を一切使わず、鶏だけで仕立てるスタイルを貫いています。スープそのものを味わっていただきたいという思いから、鍋の中に余計な素材を加えず、鶏の旨味を純粋に引き出すことにこだわっています。スープは加熱に繊細で、沸騰させると風味が損なわれてしまうため、本店では沸騰させない絶妙な火加減で提供しています。締めの雑炊も提供した鍋の中でなく厨房で丁寧に仕上げます。臭みがなく、澄んだ鶏の香りを堪能できるこのスープは、「鶏だけの味のスープを飲む」という贅沢な体験を提供しています。

長い歴史の中では、設備の更新にも多大な苦労があったといいます。スープを炊く熱源は石油からガス、さらに現在の蒸気ボイラーへと進化しており、そのたびに製法を一から見直す必要がありました。新しい機材の導入には莫大な費用と年月を要しましたが、試行錯誤の末に現在の製法を確立。「今の水たきこそが最高峰」と胸を張ります。その背景には、伝統を守りながらも常に改良を重ねる探究心があります。
また、東京オリンピックを見据えた設備投資の直後に襲った新型コロナウイルスの影響も大きかったそうです。それでも玄海は歩みを止めませんでした。実はパンデミック以前から、家庭でも水たきを楽しめる冷凍商品の開発を進めていたといいます。2018年に構想を立て、2019年に本格的に準備を開始。外食から内食への流れを読み通販事業を展開しました。冷凍スープの商品化では、店の味を家庭でどこまで再現できるかが課題でしたが、数多くの冷凍設備を試し、最終的に「温めるだけでお店の味を楽しめる」完成度にたどり着きました。お店では白いスープのみのスタイルですが、自宅では自由に食材を加えて楽しんでほしいという思いがあります。ただし、沸騰させてしまうとスープの風味が損なわれるので、過熱のしすぎにはご注意を。

今後の展望としては、まず日本全国へ、そして世界へと水たきを広めることを目指しています。将来的には寿司やうどん、天ぷらのように「水たき」も国際的な日本料理として認知されることが目標です。海外では「チキンスープポット」と説明していますが、まだ十分に認知されていません。海外の従業員の意見を取り入れながら、文化や言葉の壁を超えて水たきの魅力を伝える方法を模索しています。すでにスイスの学会などでは高い評価を得ており、「知られていないだけで、必ず世界に受け入れられる」と確信しているそうです。

さらに、持続可能な生産者との連携や、料理人の社会的地位向上にも力を注いでいく考えです。水たきを科学的に探求し、伝統を新しい形で世界に発信することで、料理人が憧れられる職業となり、飲食業界全体が豊かになる未来を描いています。創業100年を迎える節目に向け、「玄海」は単なる老舗ではなく、次の100年を見据える革新の象徴として進化を続けています。
水たき玄海
住所 東京都新宿区新宿5-5-1 玄海ビル
営業時間 平日 16:00~21:00 / 土日祝日 11:00~21:00
定休日 不定休、年末年始
https://genkai-group.jp/
げんかい食堂
住所 東京都新宿区新宿5-5-1 玄海ビル1F
営業時間 平日 11:00~15:00(最終入店14:20、ラストオーダー14:30)
土日祝日 11:00~15:30(最終入店14:50、ラストオーダー15:00)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
https://genkai-group.jp/genkai-shokudo/