伊達鶏を届ける人たち

2026.01.08

伊達鶏をもっと身近に。地域に根ざす「味工房」の想い

味工房は、福島県内を中心に展開している唐揚げ専門店です。店内では、伊達鶏を使ったフライドチキンを販売しており、その確かな味わいで地域の人々から長く親しまれています。味工房を運営する株式会社ワールドの代表取締役・菅野和仁さんは、「伊達鶏の美味しさをもっと身近に感じてもらいたい」という思いを胸に、日々商品づくりに取り組んでいます。

 


菅野さんが伊達鶏と関わりを持つようになったのは、もともと運送業を営んでいた時のことでした。ワールドグループでは、伊達鶏の飼育・販売を行う伊達物産の商品配送を請け負っており、納品先では「伊達鶏は本当に美味しい」「ほかの鶏とはまったく違う」といった声を多く耳にしてきました。こうした高い評価に触れるうちに、菅野さんは「こんなに喜ばれている地元の食材を、自分の手でも届けたい」と考えるようになったといいます。そうした思いから、味工房でも伊達鶏を使用した商品の販売を行うようになりました。
また、菅野さんにとって伊達物産は特別な存在でもあります。味工房の前身である飲食事業を始めて間もない頃、本部の倒産により仕入れができなくなり、経営の危機に陥りました。その時に支えてくれたのが、当時フライドチキンのフランチャイズ事業を展開していた伊達物産でした。経営の基礎から丁寧な指導を受け、「何もわからなかった自分に一から教えてくれた。あの恩があるから今の自分がある」と菅野さんは語ります。株式会社ワールドの取り組みの根底には、伊達物産への深い感謝と恩返しの思いが込められています。
 

伊達鶏は、運動量が多く筋肉質でしっかりとした歯ごたえがあり、焼くと旨味があふれるのが特徴で、唐揚げや焼き鳥に最適です。しかし、その一方で課題もあります。人気が集中するモモ肉ばかりが売れ、手羽元や手羽先などの部位は余りがちなのです。部位の販売バランスが崩れると、生産者は鶏の羽数を増やすことができません。
「もっと伊達鶏を知ってもらいたいのに、売れ残りが出ることで生産が伸ばせない。それなら余る部位を使って、美味しく、しかも手ごろに提供すればいいと思ったんです」と菅野さんは語ります。こうした考えから生まれたのが、伊達鶏の手羽元や手羽先を使ったフライドチキンです。伊達鶏本来の旨味を楽しめるうえ、余剰部位の有効活用にもつながる一石二鳥の取り組みです。「部位を無駄にせず、価格も抑えられれば、生産者もお客様も喜んでくれる。それが伊達鶏全体の発展につながる」と菅野さんは話します。

 

株式会社ワールドでは、ふるさと納税向けに「伊達鶏モモ×ムネ焼き鳥」も開発しています。モモ肉のコクとムネ肉のあっさり感を組み合わせることで、伊達鶏の持つ多彩な味わいを一度に楽しめる商品です。こうした取り組みの背景にも、「高級品としてではなく、地元で愛される日常の味として伊達鶏を広めたい」という思いがあります。
 

 

 


また、価格設定にも地域への思いが込められています。「子どもでも買える価格で美味しいものを」という考えは、小学生のころ、たこ焼きを10円で買っていた記憶がその原点にあるそうです。その思いから、高校のそばに出店するなど、若い世代にも親しまれる場所づくりを心がけています。「子どもが”美味しい”と言ってくれたら、その様子を見た親も食べてみたくなるでしょう。そんなふうに、伊達鶏の美味しさが少しずつ広がっていったらうれしいですね」と、菅野さんは穏やかな笑顔で話します。
 

 


今後も株式会社ワールドでは、余剰部位を活かした商品開発を進め、生産者・販売者・消費者の”三方よし”を目指していく考えです。「伊達鶏の魅力をもっと多くの人に届けたい。そして、支えてくれた伊達物産への恩を、地域に還元する形で返していきたい」と菅野さんは語ります。これからも、味工房は地元に愛される店として、伊達鶏の美味しさと可能性を発信し続けていきます。
 

株式会社ワールド
住所:福島県伊達郡桑折町成田字百目木6番1号
https://www.fukushima-world.co.jp/
特製やわらかからあげ味工房保原総本店
住所:福島県伊達市保原町字前田町4-4
営業時間:11:00〜20:00
https://www.yawaraka-karaage.com/